ニューヨークの五番街でおそらく1880年代に創設されたMerrimack Publishing Corporation(メリマック出版社)が、1970年代に復刻本として出版したアット・グレートアーントマーサ・ペグドールピクチャーブックです。Peg Doll(ペグドール)はイタリアの南チロル地方のヴァル・ガルデーナの町で作られた木製のドールが始まりのようですが、その後ドイツやオランダやアメリカで多く製作されたようです。また、Peg Doll(ペグドール)の名前はClothespeg(クロスペグ/洗濯バサミ)のペグから付けられたようです。また、初期の頃のペグドールは木製の洗濯バサミの側面に穴を空けて腕になる木の棒を差し込んだだけのものでしたが、その後にお顔の彩色がされ腕や脚はジョイントで動かせるようになったようです。また、ペグドールは衣服を着せられていない状態で販売されていたようなのでチャイルド達は布切れから自分でドレスを作ったようです。また、ペグドールはPenny Doll(ペニードール)とも呼ばれていますが、これは1ポンドの100分の1のペニー(1セント)の価格のドールのことのようです。また、ペグドールは当時は高価なビスクドールが買えない庶民のチャイルド達のドールでしたが、今では世界中で人気が高くてとても高価なドールになっているようです。こちらは大変レアなおそらく1900年代に出版されたペグドールの楽しい絵とお話の復刻本のPicture Book(ピクチャーブック/絵本)で、本体は表紙を入れて全部で40ページありカラーイラストが18点でモノクロイラストが1点あります。また、モスグリーンクレーとクリーム色のカバーと表紙にはat Great-Aunt Martha's(マーサおばさんの家で) A Story about Wooden Dolls(木の人形の物語)のタイトルと雪の積もった野原でマーサおばさんの家の馬に乗り五匹の猟犬を連れて赤いジャケットを着て狩に出かけるペグドールと玄関で見送るマーサおばさんのイラストがデザインされていていています。また、中ページの最初にはat Great-Aunt Martha's by Kathleen Ainslie(キャスリーン・エインズリー作)の表示があるのでお話とイラストを制作したのは、1858年にイギリスのサマセット州のコーフの町で生まれたキャスリーン・エインズリーで、彼女は1900年から1911年頃に活躍したイラストレーターのようです。また、彼女は19世紀から20世紀初頭にかけて人気があったジョイント式のペグドールを題材にしたこちらの絵本の出版で有名なようです。また、その次のページからは、Here we are-just arriving to stay with great-aunt martha(私達はマーサおばさんの家に滞在するためにちょうど今到着したところです)の文章で始まりますが、イラストはゴルフクラブや沢山の荷物と鳥カゴと猫と厚手のコートを着た二人の子供達とママとパパを乗せた二頭立ての馬車の到着を嬉しそうに両手を上げて出迎えているマーサおばさんと孫達と荷物を馬車から下ろしている娘や息子達が描かれていてオシャレで可愛くてとてもいい感じです。また、お話はマーサおばさん達が到着前に美味しそうな料理をキッチンで沢山作ってくれていたこと、寒さを和らげるためにお風呂に入ったこと、霜が降りるとみんなで滑って楽しく遊んだこと、庭で雪合戦で遊んだこと、みんなでお芝居や狩もしますが、この後ペグドール達はどうなってしまうのでしょうか。また、裏表紙には脚を骨折して椅子に座って本を読んでいるガールペグドールとMerrimack Publishing Corporation, 85 Fifth Avenue, New York(ニューヨーク五番街85番地) 10003 No. 1783S Printed in Hong Kong(ホンコンで印刷) Replica of The Antique Original(アンティーク・オリジナルの複製)と書かれているようです。120年も前のペグドールのピクチャーブックですが、見ているだけでペグドールが欲しくなってしまいそうな大変レアなとても素晴らしい一品です。

イラストの発色が良く大変きれいです。写真のように表紙の右下の角の印刷面の薄紙に縦37ミリ横9ミリ位の擦れからの傷みが一箇所あります。その他、多少の傷みや汚れなどありますが折れや破れはなくとても状態が良くきれいで、Good Conditionです。