フランスでおそらく1890年代にロタン(ラタン)と板と生地で製作されたヴェールブルーパールクッサン・ロタンオジエクチュールボワットです。こちらは超レアなしっかりとした木材の骨組みの上にロタン(ラタン)のオジエ(編み込み)で作られた真鍮のヒンジでフタが開閉するCouture Boite(クチュールボワット/裁縫箱)で、正面中央の丸くせり出したフタと本体には真鍮製の花びらのようなルリエフ(レリーフ)がある格調高い留め金が付けられていてとても素敵です。また、フタと本体の表面はロタンで編まれていますが、大変細かく手間のかかった三つ編みのように編まれたロタンもいっしょに編まれていてエレガントでオシャレでとてもいい感じです。また、フタと本体の中央部分には、おそらくテニスラケットに使われている羊の膓から作られた大変丈夫なテュヨー(ガット)もいっしょに編まれていて大変凝った作りです。テュヨーは1930年代頃まで使用されたようですが、1940年代頃にビニールが開発されるとそれ以降はカラフルな色合いのビニールとロタンの編み込みが流行しだしたようです。また、フタを開けるとフタの裏側には中に綿を詰めたソワ(シルク)のようなヴェールブルーパール(ペールグリーンブルー)の生地が張られて作られたパン(ピン)を刺すためのクッサン(クッション)がありますが、中央部分には縦にシゾー(ハサミ)ななどを留めるためのサンテュール(ベルト)が付けられているのも便利です。また、本体の中にもヴェールブルーパールの生地が張られていますが、フタの裏側と本体の上部のフチにはエクリュ(生成り)のラム(ブレード)飾りが付けられているのもオシャレです。また、底面は板で作られていますが、年輪をデザインしたベーシュの化粧紙が貼られているのがとても面白いですね。また、底面の四隅には無垢材の球体の脚が取り付けられています。とても使い勝手のいいクチュールボワットですが、クチュールボワット以外にもビジューコフレ(ジュエリーボックス)として使ってもとてもいいですね。当時のフランスのクチュールボワットは使いやすいだけでなく装飾品のように美しくてオシャレなのでお部屋にあるだけで素敵ですね。当時のパリのアパルトマンに住むマドモアゼルやマダム達の気分でオシャレに使いたい大変素晴らしいヴェールブルーパールクッサン・ロタンオジエクチュールボワットです。

ロタンに多少の欠けや割れなどありますが飴色になった木肌がとてもいい雰囲気です。テュヨーに切れはありません。ヴェールブルーパールの生地に少し色褪せや汚れがありますが破れやほつれはなくきれいです。真鍮の留め具とヒンジに壊れはなくフタはスムーズに開け閉めできます。写真のように底面の二箇所の脚の横の化粧紙に少し汚れがありますが、化粧紙に剥がれや破れきありません。虫食いの跡はありません。その他、少し傷みや汚れなどありますが壊れはなく古いものにしてはとても状態が良くきれいで、Good Conditionです。