フランスのおそらくドイツとの国境近くのアルザス・ロレーヌ地方の学校で、おそらく1890年代に学生が制作したエクリュ(生成り)やルージュ(レッド)やブルーの木綿の糸でクロッシェ(かぎ針)編みされたドンテル(レース)の編み方のモデール(パターン)の見本がコレクシオン(収集)されたモデールクロッシェドンテル・シャコレクシオンカイエです。Dentelle(ドンテル)はヨーロッパでは16世紀の初頭にイタリアの修道院で収入を得るために編まれたのが始まりのようです。その後、ヴェネチアやフランドル地方(ベルギーとオランダとフランスにまたがる地域)で広まったようです。フランスではノルマンディー地方のアランソンの町で1650年代頃から制作されたアランソンレースが有名なようです。1平方センチメートル作るのに7時間という気の遠くなるような手間をかけて編まれているようですが、マリー・アントワネットも愛用していたようで現在はユネスコの無形文化財に登録されています。こちらは超レアなドンテルの編み方の技法見本が沢山コレクシオンされた厚紙で作られたCahier(カイエ/ノート)で、表紙はフランスで1853年に創設されたLe Chat(ル・シャ)社が、広告宣伝用に制作したEcole de Classe de Cahier(学校やクラス用のノート) Savon le Chat(猫の石鹸)の文字とシャ(猫)のイラストがデザインされた学生用のカイエの表紙がそのまま使われています。また、表紙を入れて20ページある本体の14ページには合計で82個の沢山のクロッシェドンテルの見本が収められています。また、クロッシェドンテルにはリューシュ(フリル)模様、お花やダミエ(市松)などのボーデュア(ボーダー)模様、アナナス(パイナップル)模様、花車や扇模様やナプロン(ドイリー)などが沢山ありエレガントでオシャレで可愛くてとてもいい感じです。また、ページにはドイツ語で書かれたエティケット(ラベル)が張られています。これはおそらく元々フランス領だった町が戦争で40年位ドイツ領になったので学校ではドイツ語で授業をしていたようですが、表紙だけは可愛いシャのイラストのフランス語の表紙を付けたようですがとても素敵ですね。フランスやドイツでは昔から教育の発展と子供達に高い技術などを身に付けさせるための授業があったようですが、こちらはその授業で使われていたもののようです。さすがにフランスは昔からオシャレなモード(ファッション)の国なので、こちらのようなドンテルのコレクシオンカイエがあるのですね。120年以上も前にアルザス・ロレーヌ地方の学校で使われていたカイエの沢山のクロッシェドンテルを見ているだけでフランスのドンテルの歴史の深さと素晴らしさに驚いてしまいそうな大変貴重な価値ある一品です。

ドンテルに色褪せや色焼けや汚れなどありますがほつれや破れはほとんどなくとてもきれいです。その他、カイエに多少の傷みや色焼けや小さな破れなどありますが壊れはなくとても状態が良くきれいで、Good Conditionです。