フランスでおそらく1930年代にイヴォワールーブランシュ(アイボリーホワイト)の木綿の糸でボビヌドンテル(ボビンレース)編みとイヴォワールーブランシュのラン(リネン)の生地でトラヴァイユ・ドゥ・デクーペ(カットワーク)の手法で作られたシャペロンルージュ&ルー・ボビヌドンテルナプロンです。ドンテル(レース)はヨーロッパでは16世紀の初頭にイタリアの修道院で収入を得るために編まれたのが始まりのようですが、その後、ヴェネチアで広まった後フランスへ伝わっていったようです。フランスではノルマンディー地方のアランソンの町で1650年代頃から制作されたアランソンレースが有名なようです。1平方センチメートル作るのに7時間という気の遠くなるような手間をかけて編まれているようですが、マリー・アントワネットも愛用していたようで現在はユネスコの無形文化財に登録されています。また、19世紀以降はボビヌドンテルは機械でも編まれるようになりますが、1920年代以降に作られたボビヌドンテルのほとんどは機械編みになり手作りのボビヌドンテルは価値の高い芸術品として扱われるようになりました。また、トラヴァイユ・ドゥ・デクーペの手法は織り目がつんでほつれにくい生地にデザインした模様を切り抜いてから切り抜いたフチを刺繍する手法のようです。また、ヨーロッパでは古くからトラヴァイユ・ドゥ・デクーペは僧服やムショワール(ハンカチーフ)やテ・ドゥ・オレイエ(枕カバー)などに使われていましたが、15世紀頃にヴェネチアで作られた精巧なトラヴァイユ・ドゥ・デクーペは宮廷服に愛用されていたようです。こちらは大変レアな機械編みのボビヌドンテルとトラヴァイユ・ドゥ・デクーペで作られた四角いフォルムのChaperon Rouge(シャペロンルージュ/赤ずきんちゃん)の楽しいお話の場面がデザインされたイヴォワールーブランシュのNapperon(ナプロン/ドイリー)で、本体の左右はブランシュのランの生地にトラヴァイユ・ドゥ・デクーペの手法で美しいお花模様がデザインされていてとても素敵です。また、中央はボビヌドンテル編みで森の家に住んでいる病気のおばあさんにパニエ(バスケット)に入ったガレット(焼き菓子)と葡萄酒を届けに行く途中の道で親切そうな悪いルー(オオカミ)に出会ったシャペロンルージュがデザインされていてオシャレで可愛くてとてもいい感じです。また、遠くに見えるおばあさんの家や風車もデザインされているのも可愛いですね。シャペロンルージュのお話はフランス人のシャルル・ペローが1697年に出版した「ペロー童話集」の中にありますが、1812年頃にドイツ人のグリム兄弟がアンファン(子供)達のために可愛くリメイクして有名になったようです。このままナプロンとして使ったり額に入れてお部屋に飾ったりと工夫次第で色々と楽しく使えそうなサンドリヨン・ボビヌドンテルナプロンです。

シャペロンルージュのドンテルとトラヴァイユ・ドゥ・デクーペのお花模様がとてもきれいです。その他、多少の擦り切れなどの傷みや汚れなどありますがほつれや破れは大変状態が良くきれいで、Good Conditionです。