ドイツでおそらく1890年代にホルツ(木材)で製作されたプッペ(ドール)用のエルフェンバインホルツ・プッペンキュッヒェンシュランクです。ヨーロッパのプッペンシュトゥーベン(ドールハウス)の歴史はとても古く、特にドイツのプッペンシュトゥーベン用のメベール(家具)は製作技術が最も高かったのでとても人気があったようです。こちらは大変レアなプッペのキュッヒェ(キッチン)用に無垢材で製作されてエルフェンバイン(アイボリー)に塗装された陶器や銀のお皿やズッペ(スープ)を入れる鉢などを入れるためのKuchenschrank(キュッヒェンシュランク/食器棚)で、本体の上部には真鍮製の取っ手のある窓に透明なガラスが入れられた真鍮のヒンジで開閉する両開きの扉がありますが、扉を開けると中には二段の広い棚がありお皿や鉢などが沢山入りそうです。また、下部の真鍮製の取っ手のある真鍮のヒンジで開閉する両開きの扉の窓には、ガラスではなくてエルフェンバインに塗装された金網が取り付けられていて中に入れられた食器などが外から見えますが、古い時代のシュランクの雰囲気がとてもいいですね。また、扉を開けると中には二段の広い棚があり沢山の食器が入りそうですが、お気に入りのプッペといっしょに飾るとオシャレで可愛くてとてもいい感じです。また、上部と下部の板と正面の中央の板には装飾的な加工がしてありますが、下部の四本の脚はボアトルネー(ボビンターン)の装飾的な加工がしてありとても素敵です。また、背面の板だけはおそらく合板が使われているようですが、合板は反りや割れが出にくいのでとても良く考えられて作られているようです。また、合板は1797年に英国の海軍技術者のSamuel Bentham(サミュエル・ベンサム)がチーク材などのような膨張や収縮が少ない木材を作るために発明したようですが、1860年代にフランスで製造技術が確立され1870年代には製品として製造されていたようです。おそらく当時のブルジョワのキンダー(子供)達のために製作されたもののようですが、職人が一つ一つ手作りで作っているようなので大変作りがいいですね。また、プーペ用のキュッヒェンシュランクですが、クライダーシュランク(ワードロープ)として使っても良さそうです。どこを見ても手抜きのない素晴らしい作りでうっとりと長い間見とれてしまいキンダーだった頃の楽しい思い出が蘇ってきそうですが、ドイツのプッペンシュトゥーベン用のメベールはやはり作りがいいですね。母から娘へと代々受け継がれてきた素晴らしいプッペン・キュッヒェンシュランクはこれからも大切にしていきたい大変価値ある素晴らしい一品です。

エルフェンバインの塗装の剥がれが少なくとてもきれいです。ガラスに欠けやヒビはなくとてもきれいです。金網とヒンジに壊れはありません。虫食いの跡はありません。その他、多少の傷みや汚れなどありますが壊れはなく大変状態が良くきれいで、Good Conditionです。