フランスで1911年にMarcel Pintel(マルセル・パンテール)が創設したPintel(パンテール)社が、おそらく1930年代に製造したクイナール(スクイーカー)が内蔵されたぬいぐるみのブランモヘア・パンテールテディウルスです。フランスではTeddy Ours(テディウルス/テディベア)はドイツから輸入していたようですが、1914年に第一次世界大戦が勃発すると輸入ができなくなり1919年頃からパンテール社がフランスで初めてテディウルスの製造を始めたようですが、1925年頃には6年遅れでフランスのFadap(フェダップ)社も製造を始めているのでフランスではこの二社が古くからある有名なテディウルスの製造会社のようです。また、パンテール社のテディウルスのお鼻の刺繍は時代によって色々なフォルムがあるようですが、特に有名なのはこちらのテディウルスのようにお鼻の両端が下へ少し伸びているのが特徴のようです。こちらは超激レアなパンテール社が初期の頃に製造したイヴォワールブランシュ(アイボリーホワイト)のアラベスク模様のリュバン(リボン)を首に結んだブラン(ブラウン)のモヘアで作られた鼻スジの長い伝統的なフォルムのテディウルスで、つぶらなノワール(ブラック)と透明なガラスの目とノワールの糸で刺繍されたお鼻の下のお口で優しく微笑んでいるような表情がオシャレで可愛くてとてもいい感じです。また、前足と後ろ足にはブランの生地のパッドが付けられているのも可愛いです。また、ノワールの糸の三本の爪は後ろ足に付けられていますが、前足は元から付けられていないようです。また、頭と胴体と前脚と後脚がジョイントされているのでいろんなポーズが楽しめますが、ジョイント部分には丸い木や板紙が付けられているのではなくて、パンテール社の初期のテディウルスなのでトール(ブリキ)の板が付けられていて大変珍しくてやはり超激レアですね。また、体の中は木毛とカポック(パンヤノキの綿毛)を混ぜたものが詰められているようなので柔らかい感触の中にもザクザクした硬い感触もあります。また、フランスの1940年代以降のテディウルスのジョイントのほとんどは、頭と胴体は固定で胴体と前脚と後脚のジョイントは太い針金で簡単に留めたものが多いですが、こちらはフランスの大変古い時代のテディウルスなのでジョイントはドイツのテディウルスと同じようにトールの板を入れて作られていてとても凝った作りです。また、お腹の中にはクイナールが内蔵されているようですが、残念ながら今は押しても鳴いてはくれません。また、布地のタグはありませんがおそらく厚紙製のタグが首に付けられていたようです。また、パンテール社のお鼻の両端が下へ少し伸びている刺繍のテディウルスはフランスでも大変珍しくなってきて中々お目にかかれないようです。また、こちらは1940年代の暗い戦争時代にフランスのアンファン(子供)達の気持ちを明るくしてきたテディウルスですが、この子がアンファン達といっしょに戦争を生き抜いて来たことに驚いてしまいますね。フランスから遥々やって来た歴史のあるパンテール社のテディウルスですが、この子が傍にいるだけで気持ちが優しく癒されてしまいそうなフランスでテディウルスの製造で最も歴史のあるパンテール社の大変素晴らしい貴重な価値ある一品です。

ブランのモヘアに多少の抜けがありますがとてもきれいです。ガラスの目にキズはや欠けやヒビはなく大変きれいです。お鼻とお口と爪の刺繍に切れはなくとてもきれいです。写真のように右の前足の付け根の胸の部分に幅8ミリ位と左の後ろ足の付け根部分に幅6ミリ位小さな擦り切れがあり中のジョイントのトールの板が少し見えています。後ろ足の三本の糸の爪に切れや欠損はなくとてもきれいです。クイナールは現状では押しても作動しません。リュバンは後から付けられたもので多少の傷みがありますが破れはなくとてもきれいです。その他、多少の傷みや汚れなどありますがほつれや破れはなくとても状態が良くきれいで、Good Conditionです。