パリで1959年にRobert Hocq(ロベール・オック)が創設したSilver Match(シルバーマッチ)社が、おそらく1960年代に婦人用またはプーペ(ドール)用のMontre de Gousset(モントル・ドゥ・グーセ/懐中時計)として製造したアルジャン(シルバー)メッキされたメタル製のローズアルジャン・モントル・ドゥ・グーセです。また、シルバーマッチ社はBriquet(ブリケ/ライター)の製造でも有名です。こちらは超レアな小振りなおそらくChatelaine(シャトレーヌ)用のフタがヒンジで開け閉めできる機械式のモントル・ドゥ・グーセですが、シャトレーヌは、18世紀のフランスのブルジョワの婦人達の間で流行したローブ(ドレス)のタイユ(ウエスト)の紐やサンテュール(ベルト)などに掛けるクロシェが付い鎖の装飾品で、鎖には懐中時計やポシェットや鍵などが付けられてい多様です。また、19世紀になると庶民の間にも広がり小さなシゾー(ハサミ)や指ぬきや鏡などのが付けられたようです。また、丸い本体の上部にはルソール(ゼンマイ)の巻き上げや時刻の調整をするクロンヌ(リューズ)と鎖を掛けるためのヌー(輪っか)がありますが、ヌーの部分には細かなアラベスク模様がルリエフ(レリーフ)でデザインされていてとても素敵です。また、本体の正面のフタと本体の背面にはローズのお花のアラベスク模様がルリエフでデザインされていてエレガントでオシャレで可愛くてとてもいい感じです。また、フタを開けるとガラスの風防がありますが、中の白い文字盤には1から12までのノアール(ブラック)のアラビア数字とSilver Match 17 Rubis(17個のルビー石) Antichoc(耐衝撃性)のロゴと文字がデザインされているので、こちらはルビー石を17個も使っていて落下や衝撃に強い構造で設計されているようです。また、クール(ハート)などにデザインされたノアールの時針と分針も素敵ですね。このまま鎖を付けてモントル・ドゥ・グーセとして使っても便利ですが、当時のパリのマドモアゼルやマダム達のようにポシェットや鍵といっしょにシャトレーヌとして使うともっと素敵に使えそうなフランスのシルバーマッチ社の大変素晴らしい一品です。

モントル・ドゥ・グーセは現状では問題なく作動しますがアンティーク品なので完全ではありません。風防にキズやヒビはなく大変きれいです。その他、僅かな傷みや汚れなどありますがサビはなく大変状態が良くきれいで、Good Conditionです。