フランスでおそらく1880年代に製作されたボア(ウッド)と板紙にティッシュ(生地)が貼られたトワル・ド・ジュイティッシュ・クチュールボワボワットです。Toile de Jouy(トワル・ド・ジュイ/西洋更紗)はパリから西へ10kmほど行ったイヴリーヌ県のJouy-en-Josas(ジュイ・アン・ジョザ)の町で1760年頃にドイツ人からフランス人に帰化した染織家のChristophe-Philippe Oberkampf(クリストフ・フィリップ・オーバーカンプ)が製作を始めたようですが、図案はロココ様式の牧歌的な絵を描いたJean-Baptiste Huet(ジャン・バプティスト・ユエ)などの画家達が制作していたようです。また、オーバーカンプの工場はヴェルサイユ宮殿の近くにあったのでフランス国王ルイ16世の王妃のマリー・アントワネットは、抒情豊かな人物や動物や植物や風景や神話や天使などが描かれたトワル・ド・ジュイに魅了されていたようです。また、オーバーカンプは1783年にルイ16世から王室製造業者の称号を与えられたようです。こちらは超レアなヒンジでフタが開閉する長方形のおそらくクチュール(裁縫)用に作られたボワット(ボックス)で、フタと本体にはイヴォワール(アイボリー)地にルージュ(レッド)とロゼ(ピンク)のお花の咲いた広いお庭を流れる小川を渡るルージュとロゼのローブ(ドレス)を着たマドモアゼルと杖をついたムッシュの姿がエレガントでオシャレで可愛くてとてもいい感じです。また、お庭を散歩しているエヴァンタイユ(扇子)を持ったマドモアゼルとムッシュと子犬の姿や川で舟遊びをしながら釣りをしているマドモアゼルとムッシュ達の姿や二羽の白鳥や梯子に登って木の実を取ろうとしているムッシュの姿など沢山のイラストがデザインされていてとても素敵ですね。また、フタの裏と内側にも同じトワル・ド・ジュイのティッシュが貼られていてとても作りがいいようです。また、フタは板紙で作られているようですが、上部のティッシュの下には綿が詰められているようで柔らかな触感がありとてもいい雰囲気です。また、本体の底面は板紙で作られていますが、側面は木材で作られているようでとてもしっかりとした作りです。また、フタの裏側にはヴェール(グリーン)の化粧紙が貼られています。また、フタは立てたままの状態にできますが、フタの裏側と本体の内側には金具が付けられているのでフタを立てたまま固定できてヒンジも傷めないのでとても凝った作りです。また、正面には小さなエティケット(ラベル)が貼られていてLaine Couture(レーヌ・クチュール)と書かれてるようです。また、背面にもエティケットが貼られていてLaine Griseと書かれているようなのでレーヌ・グリーズという少女が使っていたクチュールボワットかも知れません。18世紀のロココ調のデザインのトワル・ド・ジュイの柄の生地を見ているだけで牧歌的な優しい気分にさせられてしまいそうな大変貴重な一品です。

本体の外側のティッシュに色焼けや色褪せがありますが内側は色焼けや色褪せはほとんどなくとてもきれいです。化粧紙に多少の傷みがありますが破れはなくとてもきれいです。フタは立てたままにできヒンジに壊れはありません。本体の金具は元から付いているものですが、フタの部分の金具は交換されているようです。フタと本体の角に擦れからの破れが少しあります。その他、多少の傷みや汚れなどありますがティッシュの剥がれや壊れはなくとても状態が良くきれいで、Good Conditionです。