フランスでおそらく1890年代にロタン(ラタン)とソワ(シルク)の生地で製作されたブドワール・ロタンオジェ・クチュールコフレです。こちらは超レアなおそらくBoudoir(ブドワール/淑女の私室)で使われていたCouture Coffret(クチュールコフレ/裁縫箱)のようですが、ブドワールは貴族の婦人が書き物をしたりお化粧や着替えをするための部屋で、夫でさえ入室できない婦人専用のお部屋のことのようです。ロタンのオジェ(編み込み)で作られた楕円形に近いフォルムのクチュールコフレのフタは真鍮製のヒンジで開け閉めできます。また、フタの上部の中央には真鍮製のエレガントな持ち手が付けられていてとても素敵です。また、フタと本体の正面には格調高い真鍮製の大変素晴らしい留め金が付けられていますが、フタの留め金の穴に本体の留め金を差し込んで180度回すとしっかりとフタは閉まります。また、細いロタンの目の詰まった美しい手の込んだ編み込みも大変素晴らしくとても作りがいいようです。また、フタを開けるとフタの裏側には光沢のあるブルーのソワの生地が貼られていますが、中はふかふかの綿が詰められていて中央には縦にシゾー(ハサミ)などを留めるためのサンテュール(ベルト)が付けられているのも便利です。また、本体の内側もブルーのソワの生地が貼られているのもオシャレでとても凝った作りです。とても使い勝手のいいクチュールコフレですが、クチュールコフレ以外にもBijoux Coffret(ビジューコフレ/宝石箱)として使ってもとてもいいですね。また、ミニョネットといっしょに飾っても素敵です。当時のフランスのクチュールコフレは使いやすいだけでなく装飾品のように美しくてオシャレなのでお部屋にあるだけで素敵ですね。マリー・アントワネットやポンパドール夫人達が私的な時を過ごしたロココ調のブドワールの雰囲気でエレガントでオシャレに使いたい大変素敵な一品です。

ロタンに欠けはほとんどなく飴色になった編み込みがとてもきれいです。真鍮の持ち手と留め金とヒンジに壊れはなくフタはスムーズに開け閉めできます。写真のようにフタの裏側のソワの生地に擦り切れた箇所が多少あります。本体の中のソワの生地に多少の傷みがありますが擦り切れはなくとてもきれいです。虫食いの跡はありません。その他、多少の傷みや汚れなどありますが壊れはなく大変状態が良くきれいで、Good Conditionです。