フランスでおそらく1880年代にロタン(ラタン)とソワ(シルク)の生地で製作されたブドワール・ロタンオジェ・クチュールコフレです。こちらは超レアなおそらくBoudoir(ブドワール/淑女の私室)で使われていたCouture Coffret(クチュールコフレ/裁縫箱)のようですが、ブドワールは貴族の婦人が書き物をしたりお化粧や着替えをするための部屋で、夫でさえ入室できない婦人専用のお部屋のことのようです。ロタンのオジェ(編み込み)で作られた楕円形に近いフォルムのクチュールコフレのフタはロタンのヒンジで開け閉めできます。また、フタの上部の中央にはロタンの持ち手が付けられていましたが欠損しています。また、フタと本体の正面にはロタンの留め具が付けられていましたが欠損しています。また、フタと本体は細いロタンの目の詰まった美しい手の込んだ編み込みで作られていますが、大変素晴らしくとても凝った作りです。また、フタを開けるとフタの裏側には光沢のあるボルドー(ワインカラー)のソワの生地が貼られていますが、中はふかふかの綿が詰められていて中央には縦にシゾー(ハサミ)などを留めるためのサンテュール(ベルト)が付けられているのも便利です。また、サンテュールなどはルージュフォンセ(ダークレッド)の包みブトン(ボタン)で留められていてとても作りがいいですね。また、本体の内側も中はふかふかの綿が詰められたボルドーのソワの生地が貼られていてエレガントでオシャレでとてもいい感じです。また、本体の中のボルドーのソワの生地もルージュフォンセの包みブトンで留められているのも素敵ですが、本体の中の側面の中央には小物を入れるためのポッシュ(ポケット)が取り付けられているのが嬉しいですね。とても使い勝手のいいクチュールコフレですが、クチュールコフレ以外にもBijoux Coffret(ビジューコフレ/宝石箱)として使ってもとてもいいですね。また、ミニョネットといっしょに飾っても素敵です。当時のフランスのクチュールコフレは使いやすいだけでなく装飾品のように美しくてオシャレなのでお部屋にあるだけでオシャレですね。マリー・アントワネットやポンパドール夫人達が私的な時を過ごしたロココ調のブドワールの雰囲気でエレガントでオシャレに使いたい大変素敵な一品です。(ミニョネットは付属しません)

ロタンに欠けはほとんどなく飴色になった編み込みがとてもきれいです。ロタンの持ち手と留め具が欠損しています。写真のようにヒンジの片方の欠損が古い時代に紐で修理されていますが、フタはスムーズに開け閉めできます。フタの裏側のソワの生地に擦り切れた箇所が一箇所あります。本体の中のソワの生地に多少の傷みがありますが擦り切れはなくとてもきれいです。本体の下部に虫食いの穴が二箇所ありますが、穴は虫の幼虫が成虫になって出て行ったという証で中に虫はいないようです。その他、少し傷みや汚れなどありますが壊れはなく古い時代のものとしてはとても状態が良くきれいで、Good Conditionです。